#386 目指したコンセプトをようやく実現できたと感じた、2世代目アウトランダー。

 ここで書いたつもりでいましたが書いていなかったようで。新型アウトランダーについて。事前撮影会が行われたのはかなり前のことで、発売日まで触れられないので隠しておいたら、そのままになっていたようです。今日、原稿を書いていて、気付きました。で、あれこれ思ったことを。
 このプラットフォームはグローバルに使われ、また、兄弟モデル的なバリエーションも展開していますが、いずれにも言えるのは素性がとても良く、その使い方次第で、コンフォートとスポーティをかなりバランスできるところがアドバンテージかと。これまで、このプラットフォームをいちばん上手く使いこなしていたのはジープだったと感じています。ジープ流のストローク感を生かした乗り味を、うまくこのプラットフォームに表現しています。妙にスポーティに振らなかったことが功を奏しているかのようといえば分かりやすいでしょうかね。
 で、アウトランダーの話。初代アウトランダーが目指したのはSUVにスポーティテイストを与えたことですが、それはいわゆるスポーツカーテイストではなくて、SUVたる曖昧さを抜き去ったことにポイントがありました。ゆえに、クイックさはなかったし、サスにはストローク感もあったし、コーナーではロールも存在していました。その志はとってもいいと思いますし、新世代SUVを謳うにはとても良かった。ただし、いかんせん、ハードウェアがバランスしきれていなかったように感じます。いちばんは、18インチタイヤ。曖昧さを抜き取るためには欠かせない存在だったことは理解できますが、乗り心地においてゴツゴツ感が顔を出していて快適性が不足していました。これではSUVたるコンセプトは訴えきれない。ちなみに先代のベストバランスは16インチで、って、これは何度も書いていますが、サスとタイヤの相性がとてもよく、さらにはダートランでのグリップ感も適切。その上で、ハンドリングにクイック感は見たらず、実にナチュラル。ただし、オンロードのハイスピード域において、目指した性能が出し切れていないのがネックだったかと。なんて、書くと随分と偉そうですが、まぁ、そう感じていました。エンジンフィールも含めて。初代デビュー前に三菱のテストコースでドライブした際に。
 で、で、新型ですな。ひとことで言えば、狙った性能すべてを手に入れたという印象があります。不満のないレベルで18インチタイヤを履きこなし、エンジンフィールもパンチを得ていますし、その上で質感を手に入れています。訊けば、このアウトランダーは仕向地によっては、パジェロに代わって三菱自動車のフラッグシップSUVというポジションになるそうで。それに相応しいモデルにするという命題もあったようで、そういう意味からすれば、十分にそれを達成していると感じました。エコモードも、ストレスを感じるギリギリまでトルクを削っており、秀逸と感じると同時に、開発の苦心ぶりを感じると、良くやった、とってもいい! と褒めてあげたくなります。ただですね、ひとつだけ惜しかったのが電動パワーステアリング。今回油圧からの切り替えとなりましたが、電動パワステ1世代目といった感が否めません。高速域での操舵が重たくなるところまではいいんですが、戻りが強いため、押しごたえならぬ回しごたえ(新語?)が不足。コーナリングでは、しなやかすぎるシャシーフィールに酔っているのに、この1点で現実に引き戻されてしまう。惜しい、実に惜しい。ほんとに、惜しい。電動パワステだけが云々って話は、ルノー・メガーヌ(2世代目)で感じましたが、たかが、されど、としかいいようがなく。まぁ、いずれ改良されるでしょうから、そんな話はここで止めておきましょう。
 で、で、で、このアウトランダーにも追従型クルコンや衝突軽減ブレーキといった安全装備が採用されました。最近、BMWやメルセデス、VWで採用されたものをテストしましたが、いずれも改善の余地ありというか、完璧となるのはまだ時間がかかりそうです。このシステム、ケチをつけることはいくらでもできますが、今、キーとなるのはドライバーの上手い使いこなし術ではないかと思うのです。スバルのアイサイトを含めて。あ、その性能は数値では表せない部分が多くあります。自動車雑誌での比較紹介はそこにキーがあるような気がします。

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