#373 8年目のロードスターと、10年目で終焉を迎えたRX-8の熟成度。

  あれはもう8年前になるのですか。現行型ロードスターの試乗会は、たしか霧深い箱根で行われたと記憶していますが、あの時の視界の悪さからくるモヤモヤ感は、実はクルマからも感じた覚えがあります。人馬一体をコンセプトに掲げたことは拍手喝采だったのですが、いかんせん、それが強く感じられなかった。エンジンやらシャシーやら、個々は優れていると感じても、バランスしていない。そんな感じを受けたのでした。で、あれから、8年、久しぶりに試乗したロードスターは、とてもバランスが取れたいいクルマになっていました。中回転域のトルクフィールは加速感を強く覚えさせるものですし、高回転域でのパワーはドライバーに刺激を与えてくれるもの。シャシーも快適性を優先しようか、という戸惑いが消え去り、操縦性と快適性をハイバランスしておりました、RSなのに。RSで、260万円(ソフトトップ)ならば買いでしょう。まぁ、気になるのは233万円のSですが、試乗していないのでなんともコメントできませんな。
 一方で、生産を終了したのが、RX-8。ロータリーを子守歌代わりに育ってきた者としては、一時的とはいえ、ロータリーエンジン車の販売がなくなることは、一抹の寂しさを感じておりますが。そもそも、RX-8はしなやかな身のこなしを得意とし、そこにドライバーを高揚させてくれるロータリーエンジンをNAながらのフィーリングで組み合わせるという、過激さとは異なる世界観を作り上げておりました。つまり、最初から特に不満なく見ておりましたが、生産中止を知ってから、こうして最終型を眺めると、その整形ぶりも含めて、10年分のあれやこれやを思い起こしてしまいます。個人的にはファーストスタイルがいちばん好みですけども。ただ、肝心の乗り味は、デビュー直後のしなやかさはそのままに、19インチサイズのタイヤを上手く履きこなしていたことが、強く印象に残りました。リアタイヤが後方にあるなという感じもそのまま。と、ふと気付いたのですが、最新の国産ミニバンって、ストレッチされたとしてもホイールベースの長さを強くは感じさせないなと。これって、感じないのではなく、感じさせないようになっている、つまり、シャシーの存在感が薄れていることを意味するのではないかと。そう考えると、この少し動かしただけで分かる、RX-8のリアタイヤの存在感とは、まさに優れたシャシー性能そのものであり、感じさせると感じさせないを勘違いしないようにしなければと感じた次第で。
 と、長くなりましたが、RX-8は販売店在庫がまだあるそうで。ロードスターも含めて、買いです、買い。

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