#371 クルマ選びで大切なのは、その優劣ではなく、理解しようとするスタンス。

 レガシィはとても不思議なクルマです。クラブレガシィにて新車インプレッションをしておきながら、こういう発言をするのもなんですが、デザインから乗り味まで、そのライフサイクル中にbest buyとは評価することが出来ないモデルです。いや、betterとは明確に言えますし、国産モデルの中では自らのベンチマークモデルでありますが。ところがですね、そのライフサイクルが終わると、つまり旧型になると途端に評価が変わるんです。先代もそうでした。発表前にテストコースで見たスタイルに愕然とし、ヘッドランプに当時のオデッセイ的なテイストを見つけ出した時は、強い雨が降る中、愕然としたことを今でもしっかりと覚えています。そして、試乗会では、アウトバックの17インチ化によるコツコツ感に、何かが失われた気がして、取りまとめをした開発者との話が、かみ合わなかったことも覚えています。
 なんて話を始めたのは、#370の小旅行にて先代アウトバックをロングドライブしたからでした。ちなみに、A型、走行距離は14万kmを突破したモデル、もちろんタイヤサイズを含めてノーマル、でも、サスは無交換。で、これが良かった。とても良かった。簡単にいえば、この世代のアウトバックで作り上げたかった世界観がダイレクトに表現されているからに尽きます。6気筒エンジンを組み合わせた必要性、さらには4WDシステムにVTD-AWDを採用した理由までも。10年近く前の試乗会で感じた、あのコツコツ感はコトコト感として残っていましたが、やれたことも手伝ってかサスペンションのストローク感に味わいがありますし、6気筒エンジンには、当時の4気筒水平対向エンジンに見当たらなかった中回転域のトルク感も強くあり、それらが相まって心地よさを作り上げていました。ゆとりと素直さあるフィーリングゆえに、ドライビングが楽しい、実に愉しい。デザインも、いまこうして眺めてみると、古さを感じることなく、アリだなと思えてきます。もちろん、マイナス面もありますが、そんなことは語る必要はないかなと思えるほどに。
 このフィーリングは、実は新型アウトバック3.6Rに引き継がれ、先に挙げたアドバンテージがさらに色濃く表現されています。最新号のクラブレガシィで現行型のベストレガシィとしてこの3.6Rをピックアップしたのは、そんな理由から。アウトバックらしさだけに止まらず、レガシィらしさそのものと考えたとしても。
 何度も言っていますが、クルマはどれも同じではありません。どうせ分からないしと、最初から理解しようとしないスタンスは御法度。違いを感じ取ろうとするスタンスは、結果としていいクルマ選びを導き、そして満足感やら豊かさを楽しめるようになります。クルマ選びに大切なのは、そのクルマの優劣ではないのです。
 なんか、偉そうなまとめになりましたが、これを書き始めた時は、こんなことを書くつもりはなく。ただ、先代アウトバック3.0Rについて感じたことを吐き出しておこうと思っただけなのですが。まぁ、こういうことを書かせてしまうのも、アウトバック3.0Rのおかげであり、そういう意味からも、いいクルマなのです。オーナーの方々、手放さないほうがいいです。

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