#353 ハイバランスはボトムではなくてトップグレードだった、新型ポルテ/スペイド。

 2代目がデビューしたポルテ/スペイドの試乗会がありました。このクルマ、そもそも実用性にプライオリティをおいたと捉えられがちですが、意外にも新型は完成度が高く、あれやこれやとオドロキが多くありました。まずは走りの面ですが、開口部があれだけありながらもボディ剛性に不足は見当たらず、それゆえに正確に動くことを許されたサスペンションからは質感を感じ、ハンドリングも重心高のあるモデルらしく適度な緩さがありました。コーナーでは、意外にもロール量は小さくありませんが、ロールをきれいに出すドライビングをすることで快適な乗り味を提供しており、そして粘るシャシーも手伝って、スポーティな走りを愉しめるほど。ただ、工事が繰り返されたようなツギハギだらけの路面ではタイヤがドタバタと動き回りますが、不快感には届かない範囲で収めています。音・振動については、なんと3タイプを設定したそうで、最上級グレードにおいてはもはやワンランク上を感じ取れるほどの乗り味にあふれていました。音・振動は、走りにはダイレクトに繋がらないものですが、間接的には、演出という意味合いからも重要なポイントです。その音・振動がクルマのコンセプトにマッチしていたことも、全体の印象を大きく引き上げていたように感じます。
 肝心なキャビンは、実質的な広さを確保した上に、広々感を上手く演出しており、とても快適、かなり快適。リアシートは積極的に座りたくなる空間を作り上げており、リアシートに座ってメモをしていたら、シートやら視界やらすべて含めて、ちょっと偉くなったかのような気分に浸れました。まさに、装備から走りに至るまで、クルマのコンセプトを実によく表現しているクルマでした。
 ベストは、1.5Lエンジン、15インチタイヤ(スチールホイール)、グレードとしては最上級グレードのG。一方の1.3Lは、先の音・振動についても、タイヤの組み合わせも含めて、1.5Lとの差が大きすぎる。少々、重たいボディを引っ張るにはパワー面で不足がありましたし、14インチタイヤは質感に物足りなさを感じましたもので。
 珍しくボトムグレードをベストとはしていません。どちらをスタンダードと捉えるかですが、ポルテの場合はあまりに上級グレードの仕上がりが良すぎるため、ボトムグレードが霞んでしまっているように感じました。逆に言えば、1.3Lしかなければポルテ/スペイドに対する評価はまた変わっていたような気もします。同じクルマなれど、グレードが違うと評価も大きく変わるものなのです。どのクルマでも。

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