#327 上から目線的な教えてあげるではなく、皆に伝えたいというマスコミな初心。

 ここ数日、The Beetleを借り出しておりました。#324でも書きましたけど、いい。とてもいい。あちこち細かなところに注文はありますが、トータルとしての愉しさを感じ取ってしまうと、細々とした指摘がつまらないと思えてくるレベルのものばかりです。分かりやすく簡潔に言いますと、自然と笑みがこぼれてくるとか、笑顔になれるとか。
 The Beetleは、クルマとしてのスペックだけをなぞると、つまらないと評価されてしまうモデルです。リアには旧世代のシャシーを流用し、1.2LターボというVWの中ではベーシックなエンジンを採用。でも、作り上げた走りは、そんな単純なものではなく、ビートルとはこうあるべきという明確な指標があり、それを実現していました。ハイスペックを与えてはいないのにスポーティと呼べる軽快感があふれ、コンフォートセダンではないのに、快適性を強く感じました。もちろん、ゴルフとは明らかに違うビートルというキャラクターがありました。たとえ、質感が高いとは言えない部分があったとしても不満とは感じないレベルに収まっていて、だから、すべてを納得させられてしまう。そして、オーナーは、すべてを少しだけ抑えることによって、走りに愉しさがあふれてくることを見つけ出し、このビートルを選び、その緩さこそが人生を豊かにしてくれることにやがて気付きます。もちろん、その逆の方もいるとは思いますが。
 クルマは移動手段に過ぎないといってしまえばそれまでです。でも、クルマから教わることはたくさんあります。それはドライビングから、移動する愉しみ、そして、ライフスタイルやら、モノゴトの考え方に至るまで。僕らは、こうしたクルマ(クルマに限らず)を紹介していかなければならないと思うのです。
 大げさでしょうかね。でも、マスコミに携わりたいと思った者たちの初心は、ここにあったと思うのですが。少なくとも僕はそうでした。なんてことを思い起こさせてくれるほどに、いいクルマでした。

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