#301 仕上がりはいいのに、先が分かりづらいアルトエコと、先が見えてくるN BOX。

 年が明けて、新型車の試乗会が続いています。昨年末に東京モーターショーが開催されたこともあってのことですが。2日連続で軽乗用車に試乗してきました。1台は改良されて登場したスズキ・アルトエコ、もう1台は全くの新型車であるホンダ・N BOX。2台はいろいろな面で異なるモデルですが、最新モデルという共通項がありまして、そこから軽自動車に対して、いろんなことが見えてきました。
 N BOXは、そのコンセプトどおりに受け取ると、これといった死角が見当たらないモデルでした。自転車を積めるか否か、しかもイージーに。いや、この場合の自転車は趣味ではなくって、実用的な自転車。そこにすべてが集約されたかのような手法は、結果として日常における優れた実用性をを手に入れており、詳細は省きますが、まさに脱帽もの。ただ、実用主義すぎるきらいもありましたが。一方のアルトエコは、新型パワートレインを搭載するために、骨格からフロント周りを一新させたほどの“力作”。言い方を変えると、ライフサイクルにおける勘定を崩してまで、ライバルと戦わなければならなかった理由があったんでしょうな。
 で、中略。軽自動車は、ひとくくりで捉えられていることが多く、年式やら走行距離を気にしても、世代について気にする人は多くないと感じることがあります。たとえば、現行型で4代目となるスズキワゴンRでは、ユーザーですら世代の違いを語れる人は少なく、その周囲にいたっては全部ワゴンR。あれです、冷蔵庫やら洗濯機と同じ感覚。つまりですね、フルモデルチェンジしても、マイナーチェンジしても、よほど劇的な変化がない限り、見せ方を誤ると、そこに掛けたコスト分を期待できないと。いや、理想は切り離して。と、考えると、ジムニーなんて最たる理想の軽自動車ではないかと思うわけです。
 つまりですね、軽乗用車のライフサイクルは長くあるべきだと思います。ひとことで言えば、時代に揺らされることない、確固たるスタンスを持つことでも言いましょうか。先見の明が前提となります。時代の流れが速いからこそ、読み切れないのも事実なんですが。
 そう、考えると、N BOXからのホンダの新世代プラットフォームは、そのバリエーション(可能性)も含めて、ワクワク感があります。一方、アルトエコからは、これからのプラットフォーム戦略が見えてきません。クルマはとてもいいんですよ、両車とも。

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