#297 素性に加えて、バランスのよさが感じられた新型インプレッサ1.6L+MT。

 東京モーターショーの年だったからということもありましょう、年末年始と新型車試乗会、発表会が続いております。で、なかなか名作揃いのような気がしています。そんな中でとっても気になったモデルに、スバルの新型インプレッサがありました。コンパクト=チープさを拭い去り、今におけるスタンダードというポジションを提案しておりまして、いろんな意味で評価すべきポイントの多いクルマだと感じました。
 ベストは1.6L+MT。また、ベーシックグレード、MTを選ぶのか、と、言われそうですが、そうでなくって、バランスがとってもいいのです。とんでもなくいい。新開発の1.6L水平対向エンジンは、2.0L同様にトルク感を全回転域に表現しておりまして、パンチ=パワーという方には不評でしょうけど、乗りこなすにあたってパワーフィーリングは不足なし。レッドゾーン手前でも極端にはパワー落ちせず、まさに全域で楽しめるエンジンに仕上がってました。ハンドリングやらは、そもそも新型インプレッサそのものが相当にブラッシュアップされており、素直さが強められていてこれも好感触。乗り心地も、ダイレクト感あるストロークフィーリングが、心地よさを作り上げていて○。で、MTですが、このエンジンの素性をダイレクトに感じさせてくれるとか、シフト操作ができるってことだけに止まっていませんでした。シフト位置やフィーリングやら含めて、基本となるドライバビリティを求めた設計がされており、単なる廉価版になっておらず、まさにこのクルマを操るには、必要不可欠な存在となっていました。まぁ5速のギア比が、ちょいとハイギアードとされていますが、クルージングモードと言わんばかりの明確さがあり、これはこれでイマドキなのかなと理解できます。
 ただ、すべてが拍手喝采というわけではなく、細かに見ていくと、おや? と思うところもありました。たとえば、初期のアクセルペダル踏み込みに対して、過敏にスロットルが反応しますので、扱いづらさが顔を出します。ただし、最近のペダル(ブレーキ含む)を踏み込まないドライビングに対しては、これは有効な手段であり、頭ごなしの否定はしにくいのですが、スバルらしくないと感じたのも事実。この点を開発陣に訊いてみると、意識的に“そうした”とのこと。ユーザーの反応次第とはいうものの、この点はユーザーに振り回されてはいかんかと思うのですが。難しい。
 えっと、画像は2.0L+CVT。ダウンサイジングされるオーナーのような、まさにスペックや質感優先の方には十分応えられる内容となっていました。タイヤは17インチを履いていましたが、固さは見当たらず、上手くまとめ上げていましたし。まぁ、ご存知のとおり、旧型レガシィからの乗り換えもターゲットに入っているそうで、そういう視点からも、とっても良いクルマに仕上がっていると思いました。

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