#295 一般公開日に集う人々に見えた、具体的、現実的な視点からのショーの見方。

 日曜日、あえて東京モーターショーへ足を運びました。遠方からの友人を案内しつつ、一般公開の様子を見るために。ここ数年、毎回、そうしていますが、プレスデーとはまた違って、興味深い発見が数多くあったりするものです。
 今回の発見としては、まぁ、分かりやすい例を挙げてみますと、クルマの前で人物入りで写真を撮るもののインテリアすら覗かないで立ち去る人、購入を前提にかなり細かくチェックしている人(国産車に多かった)、ランドローバー・イヴォークをヴォーグのフルモデルチェンジ版と勘違いしてとうとうと語っていた人、トヨタブースにてドラえもんキャラクターのパネルと記念写真を撮る人々、レクサスのGSの前にて担当員に商談的な話をしているおじさん、展示されている車両の間隔が狭いために中で動けなくなった人々が多数だったアウディブース、並んで展示されているのに、誰ひとりとして見ていない赤の車両と、お姉ちゃん付きがゆえにとんでもない人だかりが出来ていた白い車両がとても対象的だったThe Beetleとか。ブースとして興味深かったのは、メルセデスやBMW同様レベルでアウディに惹かれている人々が多かったこと(ブランド力アップか)、メルセデスのブースでもドアロックを解除して乗り込みOKとしていたこと、ホンダブースのステージ部分は狭くて大混雑な上に、暗いために、入りづらさが増していたこと、マツダブースで、雄(タケリ)よりも靭(しなり)に多くの人が集まっていたこと(ブースのレイアウトが理由か)などなど。
 で、総括。単純に、カタログ的に、たくさん見られる、そして、存在を知ることができる、つまり、現実的な考えを重ね合わせ、具体的な何かを求めていた人が多いような気がしました。技術的、アート的な要素を含めて、客観的な見方をして、クルマの世界感を楽しんでいる人は見当たらず。ですから、抽象的なテーマの強いモデルの周辺では感想の声は少なく、発売間近なクルマに対しての批評の声が多かったように感じました。もっと言ってしまえば、説明書きすら読まない(あの混雑では読めない)ため、いくら優れた技術や近未来をコンセプトに謳ったモデルであっても、その本質を理解してもらえないかと。そこに、一般の人々との乖離がありますし、これから日本でのモーターショーが目指すべき姿があるのかもしれません。
 個人的には、1台をじっくりと眺めて、いろんな意見を語り合うことができる、そんな見方ができるショーが好きですけどね。で、今回は、毎日、足を運ぼうと画策していましたが、不可能に近い取材スケジュールととんでもない分量の原稿量、そして迫り来る締め切りで、それどころではなくなりまして……。

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