#291 以前のキャラクターはなくなれど、戦略がしっかりと隠されていた新CR-V。

 世代を経る毎にキャラクターが薄くなっていく、いやいや、キャラクターを変わっていくモデルがあります。そんなモデルたちに、いわゆるコンパクトSUVがあります。RAV4にしても、CR-Vにしても、ボディサイズの大幅な拡大はともかくとして、クルマとしての質感は高められているんですが、そこから遊び心に通じるキャラクターは消え去っているように感じます。それは存在感が薄れていくことを意味していたりもするんですが。まぁ、これは尖ったキャラクターをアドバンテージとしていた工業製品が、一般大衆化していった結果とも言えるもので、仕方ないとも言えますし、運命とも言えると思います。そう、よりマーケットに迎合した結末であり、より一般化したに過ぎないわけで、これを進化と表現することもできます。
 さて、ホンダのCR-Vがフルモデルチェンジしました。先代より意識的にアッパークラスへと移行させ、価格も高めて、これまでとは違う感をアピールし、それまでのレンジには異なるモデルを投入してフォローしていました。結果として、ホンダのSUVそのものがぼやけた感を覚えましたが、まぁ、より広い選択肢があるという意味では○だったのかなと。で、CR-Vですな。今回のモデルはかなり意図的なものを感じました。FFと4WDそれぞれ1グレードと明確にしつつ、価格上昇は抑えて云々。随分とシンプルにしたなと思いつつ、月の販売計画台数は1500台と強気。ちなみに、先代のマイナーチェンジ後は500台としていましたから、どこから+1000台を目論だのかが見えませんでした。で、4WDモデルの価格を眺めていて気付きました。275万円と、同サイズのSUVと捉えるとちょいと高めなんですが、実は、この手のモデルとして捉えなければ、その狙いが見えてきます。あれですな、いわゆるオジサンセダンの270万円台。つまりですね、SUVとして比較するのではなく、ミドルクラスセダンからの代替えと考えると、このシンプルで分かりやすいグレード展開(価格)も、その乗り味やら装備内容も納得ができます。自動車雑誌的にはRAV4やらと比較するんでしょうけど、購入層はそこだけにはなく、マークXと比較したりする人も多いでしょう。つまり、クルマ好きと、実際の購入者の捉え方に、乖離があるわけです。
 そんなことを考えていくと、先代後期モデルのように、ナビや本革シートを標準装備にして、300万円を切る価格設定にしてしまえば、オジサンたちはもっと喜ぶのではないかと思うわけですが、あ、特別仕様車で展開するのか。なるほど。
 新型CR-V、実に練られていました。個人的には、この世代へスイッチして、ドキドキとワクワクをどれくらい失ってしまったかがキーかなと思っておりますが。

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