#277 期待を大きく上回るオドロカシとちょっと残念が同居していた、新アクセラ。

 マイナーチェンジというタイミングなのに、フルモデルチェンジのような内容の改変をしてしまう、クルマがたまにあります。マーケットからの反響の悪さゆえに大幅改良を余儀なくされたモデルもありますが、最近は時代の流れが速いための修正という意味合いが強いという場合が多いような気がします。この秋、改良を受けたマツダのデミオとアクセラも、マイナーチェンジなのに大掛かりな変更がされていました。訊いてみれば、当初のスケジュールにはなかったイレギュラーな改変だったようです。先行して投入された技術は、この後デビューするCX-5がスタートの予定だったとか。
 で、その新しいアクセラに試乗してきました。新型2.0Lエンジンと新型6速ATによる、スカイアクティブコンセプトを掲げて、クルマそのものも大幅な見直しが行われた改良モデルです。で、結論。この新しい技術を搭載したモデルに絞りますと、悪くはないんですが、昇華しきれていないところを感じました。新型エンジンのフラットなトルク感に上品さを感じましたし、6速ATの素早いダウンシフトスピードに圧倒されました。が、肝心の歓喜が強く感じられない。そう、これは感じるだけじゃなくて、強く感じられなきゃいけないもの。いや、悪くはないんですよ、悪くはない。技術そのものはもちろん、この後に述べますが、改良されたアクセラそのものの素性は悪くありませんから、熟成するととんでもなく化けると想像できます。ちなみに、タイヤサイズは15を標準として、16、17インチが用意されていますが、なんと、期待を裏切り、17インチがいちばんいいと感じてしまいました。
 今回のアクセラは、スカイアクティブコンセプトを謳っていないベーシックなポジションとして1.5L+CVTを搭載したモデルが設定されています。ところがですね、これがとってもとってもよかった。剛性感を高めたボディとシャシーは、とんでもなく高い調和が取れていて、緩やかなアンジュレーション路面などでは、路面を滑らかに確実にきれいに捉えて離さないという、まさにヌメヌメ感あふれる足の動きがもう心地良いのなんのって。パワーフィールも、1.5LながらもCVTとの協調制御が絶妙でして、不足なし。これまで乗ったCVT採用車の中では、ベストのフィーリングだと思ったほど。さらに、ブレーキフィールもとてもいい。ペダルの踏み込み量に応じて、きれいに制動力が増していき、もう卒倒状態。バランスがいいとは、このことと言いたくなるような乗り味でした。ゴルフをターゲットとしたことが、バレバレといった乗り味ではありましたけど、今、ゴルフにいちばん近い国産車だと思いました。
 ちなみに試乗車のタイヤサイズは標準よりも1つ大きい16インチ。多少のコトコツ感がありましたが、しなやかさあふれるシャシーフィーリングの中にあっては、邪魔とか違和感には届いていませんでした。そうそう、ボディ補強といったベース(改良点)はすべてのグレードで同じ、つまり変えなかったそうです。なんと教習車まで同じだとか。このスタンスにも好感が持てました。

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