#273 愛車に求めるいちばんの要件とは、いかに素直さがあるか、どうか。

 グランドチェロキーに乗っていると、愉しさがある反面、いろいろと考えるのですよ。自動車税だけで8万8000円だし、走行距離は19万kmだし、燃費も重量級SUVとしては悪くないけど、イマドキのエコを謳っているクルマに乗ると、その差に愕然とするし。
 では、乗り換えたくなるクルマが何かあるかと言われると、それも見当たらない。条件としては、年に2回のオフロードコースランのためだけなんですけど、ハードなオフロードを走れること。それを外せば、ミニやらDS3やらゴルフやら欲しいクルマはたくさんあるんですが。まぁ、FJクルーザーやらラングラーなんていいと思うんですが、周囲で所有している人がいますし、うちのグランドチェロキーよりも燃費が良くないので却下と。で、見渡すと条件を満たしているのが、ジムニー。ただ、周囲に、次のクルマにジムニーって選択はどうかなぁと意見を求めると、えっ? と、グランドチェロキーからの超ダウンサイジングぶりに、冗談かのように捉えられてしまいます。
 で、借り出してみました、最新型ジムニーを。14年目を迎えて、どこまで進化したのかを確認することが主な理由でしたが、次期愛車になりうるかというサブテーマを掲げて。ジムニー、とってもいい進化を遂げていました。熟成ですな、熟成。日常での乗り味は快適性を得ていましたし、何より前後リジッドサスを採用したオフローダーたる緩さあふれる走りが上手くかき消されていました。特に乗り心地の面では、ゴツゴツを出させずに、上手い具合にヨタヨタ感を上手く消し去っています。まぁ、路面によっては不足気味のフラット感を残していますが。
 そして、長く乗っていると、ジムニーのシャシーは、あえてイマドキに落とし込んでいるところも見えてきました。たとえば、曲がるシーンでは、ステアリングフィールに緩さがあるのに、ロールを感じさせないままに曲がっていきます。それは明らかにスタビを少々強めに規制したフィーリングであり、つっぱり感に似た違和感とも言えます。でも、これはジムニー本来の乗り味であるヨタヨタを感じさせないようにとチューニングした結果であることが見えてくると、許せるようになってきます。
 ワインディングでは、それよりは深くロールさせるのですが、もう少し深くロールさせてもいい、つまり、ドライバーに荷重移動を感じさせて、グリップを感じさせてくれてもいいんじゃないかと思いました。しかし、そこまでロールさせないのは、横転するかも的な、ひやりという不安感を与えるないようにとの配慮であり、実際、そこから先はアンダーで逃がすという、正攻法が折り込まれていました。そんな意図が読み取れると、なかなかよくまとめたなぁと思えてくるのです。
 つまり、誰が乗っても安心感があるモデルであり、小難しいドライビングテクニックは不要に仕立ててあるのだなと。そう、イマドキなのです。
 個人的には、シャシーのしなやかさ不足に少々の’不満を抱きました。実はオフロード性能を謳わずしても、シャシー性能が優れているならば、ラフロードもそのままに走ってしまうものだったりします。初代X5がそうでした。ジムニーの場合は、どちらかを優先せざるを得なかったんでしょうね。その独特のハードウェアはもちろんのこと、コストも含めて。交換しちゃえばいい? バランスを取り切るのはちょっと難しいので、とりあえずは、それは除外して……。
 さて、次期愛車としての可能性ですが、まぁ、ある面ではアリですし、違う面ではナシかなと。分かりやすく言いますと、ジムニーに乗っていたら、今乗っているグランドチェロキーと比較してしまいまして、グランドチェロキーのバランスのよさに改めて感心してしまいましてね。それは、単純に乗り心地がいいとか、装備が云々、広さがどうたら、って、そういう話ではなくって、素直さがあるかどうか。ジムニーは、あと少しが不足していたのでした。

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